運動×ミルクプロテインで熱中症対策!
熱中症対策は、本格的な夏が来る前から始めましょう。最近の研究から、ややきつい運動後に牛乳や乳製品を摂取すると暑さに負けない身体になることがわかっています。
熱くなる前から筋力を高め、血液量を増やしておくことで熱中症になりにくい丈夫な体が作られます。そのための運動と栄養補給のポイントを知っておきましょう。
暑熱環境で発生しやすい主な症状
体には発生する熱と体の外に放散される熱のバランスをとって、体温を一定に保つ調節機能があります。熱中症は、このバランスが崩れた状態といえます。体から産生する熱が放散される熱を上回り、熱が体に留まるために体温が上昇します。運動中は筋肉で大量の熱が産生されます。そのため、気温がそれほど高くない日や短時間の運動でも熱中症を起こすリスクが高くなります。
運動によって大量の熱が発生しても、発汗によって皮膚の表面から熱がスムーズに放散されて血液の温度が下がれば体温は一定に保たれます。しかし、運動中は筋肉への血流を確保しながら皮膚への血流も増やしているため、血液中の水分が不足しやすくなります。こうなるとポンプの役目をしている心臓に血液が戻りにくくなり、血圧が維持できず、次のような熱中症の症状などが起こります。運動中は熱疲労や熱射病を起こしやすいので十分な注意が必要です。
・熱失神
めまい、失神、顔面蒼白、呼吸数の増加、唇のしびれなどの症状がみられます。皮膚の血管が拡張して血圧が低下します。脳への血流が減少することで起こります。
・熱疲労
脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などの症状がみられます。大量の汗によって十分な水分補給が間に合わず、脱水によって起こります。
・熱けいれん
足、腕、腹部の筋肉などに痛みのあるけいれんがみられます。大量の汗によって血液中のナトリウム濃度が低下したときに起こります。長時間の運動や水だけを補給しているときにおこりやすい症状です。
・熱射病
応答が鈍い、言動がおかしい、意識がないなどの意識障害が現れます。体温を調節する中枢神経に異常が起きた状態で臓器障害を合併すると死亡率が高くなるため、注意が必要です。
熱中症の発生には、温度、湿度、輻射熱などの環境条件と運動の強度が影響します。運動による熱中症は適切な対処で防ぐことができます。熱中症予防のための運動指針を目安にして無理しないようにしましょう。
熱中症対策は、暑くなる前から始めまよう
運動で1Lの汗をかくと血液中から失われる水分量は100ml。それに伴って体温を調節する働きも低下します。スポーツドリンクは汗で失われる水分や塩分、糖質などが主な成分であり、運動中など汗をかいたときの水分補給に向いています。このように、熱中症を防ぐにはこまめな水分補給が大切ですが、最近の研究からややきつい運動後に牛乳や乳製品を摂取すると体温の調節機能が改善し、暑さに負けない体になることが明らかになっています。つまり、熱中症対策には、運動中のこまめな水分補給だけではなく、本格的な夏が訪れる前から暑さに負けない体づくりをすることも大切なのです。
運動後の牛乳・乳製品を習慣にしよう
では、なぜ、運動後に牛乳・乳製品を摂取するとよいのでしょう? それには理由があります。ややきつい運動で筋肉に負荷がかかると糖質が燃料として使われる割合が大きくなります。運動中は筋肉に蓄えられているグリコーゲンがエネルギー源として使われますが、量が減ると筋細胞の膜の表面に「インスリン感受性グルコース輸送体」という物質が現れ、血液中のグルコース(ブドウ糖)を筋細胞に取り込もうと活発に働き始めます。ところが、運動が終了すると急速に消滅。そのため、筋肉に輸送体が出現している運動直後が栄養補給の絶好のタイミングです。運動中に消費したグリコーゲンが効率よく回復します。
また、運動中は筋線維が損傷するので、修復のために材料となるアミノ酸を筋細胞に運ぶ必要があります。牛乳や乳製品には、それらに必要な糖質とたんぱく質の両方が含まれ、効率よく吸収されて活用されるため、丈夫な体づくりに役立ちます。
さらに、糖質とたんぱく質を一緒に摂ることで血液量が増加して、汗をかきやすい体になり、暑さに対する順応性も高まります。このしくみの一つと考えられているのが血液中のアルブミンです。アルブミンは分子量が大きく、血管の内側から外側に移動しにくい性質をもっていますが、栄養補給によって血液中のアルブミン濃度が高まると浸透圧の影響で血管内に水分が引き込まれ、血液量が増えるのです。
このように、ややきつい運動をすると体内でグルコースやアミノ酸の取り込みが活発になり、牛乳や乳製品を摂取することで筋力がアップして血液量も増え、暑さに負けない体がつくられます。
大人は夏の健康維持のために、成長期の子どもは熱中症予防のおやつとして「ややきつい運動後の牛乳・乳製品」を習慣にしてみませんか。
※(株)明治HP 明治の食育 「知ってミルク第4回」より